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当機構職員が、国際海事機関(IMO)第96回海上安全委員会(MSC96)の審議に貢献
2016年05月26日
平成28年5月11日から20日の日程で、英国・ロンドンの国際海事機関(IMO)において、第96回海上安全委員会が開催され、110の国および地域、7の政府間機構、47の国際機関の代表が参加しました。
当機構職員は、船員に対する教育訓練の専門的な知見、経験を遺憾なく発揮し、人的因子・訓練当直小委員会の報告の審議に参画するとともに、義務要件の検討及び採択の審議を担当し、とりわけ、STCW条約附属書・コードの改正案の最終化の審議においては、このような重責を果たしました。
海技教育機構(JMETS)からの出席者
(左:巣籠大司、中:伊崎朋康、右:当機構から海技振興センターへ出向している岡村知則様)
今回の委員会では、小委員会で審議した以下のSTCW条約附属書・コードの改正案を承認しました。(教育訓練及び船員に関する主な条約改正案のみ掲載)
- STCW条約に係る旅客船の乗組員に対する安全訓練要件の改正
STCW条約附属書第V/2章に係る旅客船の乗組員に対する安全訓練要件について、人的因子・訓練当直(HTW)小委員会で審議した改正案を承認しました。改正条約は2018年7月1日に発効の予定です。 - 旅客船の損傷時制御操練
旅客船に対して、座礁時に船底に破孔が生じた際に、船体を安定して保持するための制御を定期的に操練として実施する要件が、船舶設計・建造(SDC)小委員会及びHTW小委員会で審議され、旅客船の損傷時制御操練に係る要件が新たにSOLAS条約第II-1章、第III章に追加されることになりました。今次会合では、この改正案を承認しました。改正条約は、2020年1月1日に発効の予定です。 - 極海を航行する船舶の船長・航海士の訓練要件
極海を航行する船舶の船長及び航海士の要件を追加するためのSTCW条約附属書第V/4章及び関連のSTCWコードの改正案について、前回会合で承認されたものを最終的に審議し、草案を最終化しました。事務局提案により、前回会合において採択した「ガス燃料船に乗組む船員に対する訓練要件(STCW条約附属書第V/3章)」の改正に係る受諾手続き中であるため、次回会合において、前出の旅客船の乗組員に対する安全訓練とともに採択することに合意しました。同訓練要件は、2018年7月1日に発効の予定です。
2017年1月1日に発効することとなっている極海コードにおいては、極海域における海氷状態によって、配乗要件が決められており、同コード発効日以降は、締約国が認める訓練要件を修めた船長・航海士の配乗が求められます。なお、2018年7月1日までは、改正STCW条約に従った訓練を修了した証明書の提示は求められることはありませんが、能力要件を満たす船長・航海士の配乗が必要になります。
なお、当機構では、当該船長・航海士に対する訓練課程の開講を視野に入れ、準備を進めています。
今次会合全体の会議内容につきましては、国土交通省海事局のプレスリリースをご覧ください。
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